At First 02
技術力
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今でこそどこの家庭にもある体温計ですが、約100年前までは病院で使うものという認識が一般的でした。テルモが独自の技術で開発した体温計が1920年代を通じて広く家庭に普及したことで、熱が出たら外出を控える、体温を測って健康管理をするという生活様式が、人々に浸透していったのです。
また、現在は使用するたびに新しいものに取り替えることが当たり前の「注射器」。しかし数十年前までは注射器や注射針を消毒しながら使い回していて、肝炎などが広がる原因にもなっていました。そこでテルモは、1950年代から「単回使用の注射器」の開発に着手。1963年に日本初となるプラスチック製の注射器を発売し、医療の現場における感染リスクの低減に貢献したのです。
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1型糖尿病の患者さんは、インスリン注射針を用いて、毎日複数回インスリンを自己注射する必要があります。患者さんの痛みを少なくするため、テルモは世界で最も細い34ゲージの注射針を開発しました。この細い針の筒は、一枚の板を丸めて成形することにより、穿刺抵抗や痛みを小さくするための細い外径と薬液の注入抵抗を下げるための内径の確保を両立させています。また、針の先端をを左右非対称の刃面にすることにより、皮膚に「突き刺す」のではなく、カミソリのような鋭い刃先で「小さく切る」ように工夫することで、患者さんの肉体的、精神的な負担を軽減し、QOL(Quality of Life)の向上に貢献しています。この技術は、公益社団法人発明協会が主催する「令和3年度全国発明表彰」において、「文部科学大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞しました。
心臓病や血管の病気などの手術をする場合、患者さんの心臓を止めて、人工心肺システムにより血液を体外で循環させながら、酸素などのガス交換を行います。そこで使われる「多孔質ホローファイバー型人工肺」は、1982年にテルモが世界で初めて開発したもの。ストロー状のファイバーには多孔質となるようマイクロポアを形成させ、血液の漏出を防止しながら高い酸素透過性を持たせています。また、人工肺内の血液に触れる部分には、テルモが独自に開発した抗血栓性・低吸着コート(Xコーティング)を施し、血球成分の損傷を抑制しています。ホローファイバーの素材から自社で開発・生産できる唯一のグローバル人工肺メーカーとして、さらに生体適合性を高めた後継シリーズを開発しています。
強固で安定した生産体制を実現するために、テルモではデジタルトランスフォーメーションにも積極的に取り組んでいます。人工知能を活用した自動画像検査システムやロボティクス技術などを積極的に生産工程に導入し、スマートファクトリ―を先駆的に実現させています。これらの生産工程の技術は、テルモ独自に設計されており、高い品質と生産力を生み出しています。また、日本はマザー工場の役割を担い、世界中の生産拠点に対して、最先端の生産技術に関する技術移転や導入指導を実施し、グローバルの様々なユーザーニーズや社会情勢にも迅速に対応し、高品質で均質な製品を届けられる設備や体制を整えています。
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心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患に用いられるカテーテル治療。このカテーテル治療の前の病態診断や治療後のステント留置の評価に使われるのが、「血管内イメージング(画像診断)」です。血管内イメージングには、血管壁、プラークの性質、病変長、対象血管径などを定量的に計測することが可能な血管内超音波検査法(Intravescular Ultrasound, IVUS)と高い解像度を有する光干渉断層診断法(Optical Frequency Domain Imaging, OFDI)の2つの方法があり、テルモはこの両方の技術を保有している数少ない企業です。高速演算処理により、リアルタイムに生じる心臓や肺の動きによる画像のずれを補正し、画像から血管形状やカテーテルの位置を検出させ、医療現場における診断を支援しています。
1型糖尿病の患者さんは、食事の前などに1日数回、自身でインスリンを皮下に注射しますが、テルモでは、その煩雑さを解消するため、持続インスリン皮下注入法(CSII)に用いられるパッチ式インスリンポンプを開発しました。携帯ポンプを皮膚に貼付し、皮下に留置したプラスチック製のチューブを通じて、インスリンを持続的に注入することができます。注入されるインスリンの量は非常に微量であるため、注入量を制御するシリンジポンプには、汎用注射器やプレフィルドシリンジで培われたテルモの様々な技術が生かされています。
テルモは世界初の心不全治療用再生医療等製品を開発しました。患者さんの大腿部から採取した筋肉組織に含まれる骨格筋芽細胞を培養してシート状にし、患者さんの心臓表面に移植するもので、虚血性心疾患による重症心不全の新たな治療法として期待されています。加えて、これまで再生医療等製品は有効性の証明が難しいとされていましたが、再生医療用製品を早期承認する仕組みが導入され、テルモが第1号として承認を受けたことで、今後の再生医療の産業化に向けた突破口を開きました。
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テルモは、これまで以上に社会に求められる技術を実現していくために、研究開発体制の強化にも取り組んでいます。社内の研究開発においては、既存製品の改良・改善・シェア拡大のためのR&Dを進めるとともに、長期的には新規技術の開発、ソリューション開発に注力。また、中・長期的な視点においてはグローバルを視野に入れたスタートアップへの投資やM&Aを進め、新規事業の獲得を通し、ポートフォリオの充実を目指していきます。
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高齢化社会の進展、健康寿命の延伸など、予防から予後までをトータルに捉えた医療が求められる現在。その中でテルモは、社会的にインパクトの大きい医療課題の中でも市場としての成長が期待でき、かつテルモグループの競争力が生かせる領域に重点を置き、多くの研究開発費を投入しながら、医療現場のイノベーションに取り組んでいます。
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100年後の未来を見据えたテルモが現在合言葉にしているのが、「デバイスからソリューションへ」です。デバイスはあくまで“手段”と捉え、医療全体を見渡した上でより高い価値を創出するための”ソリューション“の提供を目指します。 その鍵を握るのが、テルモが長年にわたって培ってきたコア技術と、未来に向けたイノベーションの姿勢。デバイスの低侵襲化はもちろん、デジタル活用、デバイスと薬剤を融合させた革新的な治療への挑戦など、これまで以上に前のめりに取り組むことで、「医療を通じて社会に貢献する」といった理念をこれからもずっと体現し続けます。
テルモのテクノロジーをもっと知りたい方へ
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