At First 01
事業と使命
Prologue
さかのぼること100年。
日本は、体温計の多くを
欧州からの輸入に頼っていたが…
スペイン風邪の流行などもあり、
多くの医療現場が安全で良質な体温計を求めていた。
この時、東京下町のとある小さな町工場が
良質な国産体温計の開発に邁進していたことを発端に
北里柴三郎博士をはじめとする医師らが発起人となり、
1921年、テルモの前身となる
「赤線検温器株式会社」が設立。
写真提供:学校法人北里研究所
当時の設立趣意書には、こんな言葉が綴られています。
“国民の保健は衛生思想の普及”にかかっており、
“国民の健康が国家安定の基礎”である
という見地からすれば、
これは国家的な工業ということができます。
設立者たちの想いは、
今日に至るまで連綿と受け継がれ、
「医療を通じて社会に貢献する」という
テルモの企業理念につながっています。
その後
診断・治療のピンポイントでなく、
予防・診断・治療・予後と、
予防から予後までをトータルでとらえ、
課題解決に取り組んでいます。
シリンジなどの汎用製品やカテーテルなどの高度医療機器が使われる病院は勿論のこと、家庭用製品で皆さんの近くにもテルモは寄り添っています。
体温計の国内生産を目指して生まれたテルモは、
100年以上を経て、世界にとって
なくてはならない存在に。
医療を通じてグローバルに貢献しています。
100年前、
1本の体温計からはじまったテルモ。
そんなテルモが大切にしていること、
そして見据えている未来とは?
Chapter 01
テルモが大切にしていること
2021年にテルモは創立100周年を迎えました。
およそ100年前、ひとりでも多くの人々に届けたいと願い世に送り出した、より安全で良質な国産体温計がテルモの原点です。それ以来「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念のもと、医療現場という人の命に関わる最も大切な場所で働く医療者と並走しながら、革新的な開発と誇れる品質で世界の医療をサポートしています。
私たちは、医療の分野において価値ある商品とサービスを提供し、
医療を支える人・受ける人双方の信頼に応え、社会に貢献します。
私たちは、アソシエイト、お客様、そしてビジネスパートナーに対して敬意と感謝の気持ちをもって接します。多様な文化や個性を理解し、異なる意見や社会の声にも広く耳を傾け、自らの成⾧に繋げていきます。
私たちは、人々のいのちや健康に関わる企業のアソシエイトとして、常に、誠実に使命感を持って行動します。日々努力し、全てのステークホルダーとの間に、確かな信頼を築いていきます。
私たちは、自らの活動が、患者さんにつながっていることを常に忘れず行動します。医療に携わる人々を深く理解することに努め、患者さんのより良い未来の実現をともに支えていきます。
私たちは、安全と安心の医療を提供するために、常に現場視点で課題を捉え、解決策を見つけ出します。製品品質のみならず、供給やサービスなど、全ての活動におけるクオリティーの向上を徹底的に追求します。
私たちは、未来に挑戦する風土を大切にし、好奇心と情熱をもって取り組みます。医療現場のニーズを的確に捉え、価値ある製品やサービスを最適なタイミングで届けていきます。
Chapter 02
ビジネスフィールド
テルモグループは現在、3つのカンパニーを展開し、160以上の国や地域で、患者さんと多様な医療現場、製薬企業などに50,000点を超える製品やサービスをお届けしています。
患者さんに負担の少ない治療を提供し、より良い治療効果を提供するのはもちろん、医療従事者が安全・安心のもとケアに専念できるようにすることや、未来の医療を生み出す研究の現場を支えることも、テルモの重要な使命です。医療の現場に存在する課題と真正面から向き合いながら、新たな価値創出に取り組みます。
血管内治療と心臓外科手術において、患者さんの負担軽減を追求する
身体的負担の少ない、“低侵襲治療”を追究
人間の生命活動を支える心臓・肺、そして全身の血管の病気の治療に関わる事業を展開しています。心臓や脳の血管にカテーテルを通して治療を行う血管内治療関連デバイス、心臓外科手術中に心臓・肺の機能を代替することで生命維持を行う人工肺や人工心肺装置、病気で傷んだ血管の代わりとなる人工血管やステントグラフトを提供。各事業に共通して、より良い治療効果の実現、患者さんの身体への負担軽減およびQOL 向上を目指しています。
患者さんのケアの質向上と医療の変革に貢献し、医療に関わるすべての人に「やさしい医療」を提供する
使いやすく、安全な製品の提供で、
医療現場の課題を解決。
近年、高齢化が進む中で、患者さんの増加に加え、疾病の多重化・慢性化により医療費が増大しています。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、感染対策への意識が高まりました。さらには、テクノロジーの進歩による、患者さん一人ひとりの個性に合わせた個別化医療へのニーズも高まっています。このような多様化・複雑化する医療現場の課題やニーズに対し、私たちは、これまで培ってきた強みを生かしたソリューションの提供をさらに充実させることで、患者さんのケアの質向上と医療の変革に貢献し、医療に関わるすべての人に「やさしい医療」を提供します。
世界の輸血医療を支えるとともに進化する血液・細胞治療に貢献する
細胞処理技術を活かし、
細胞治療薬の研究現場に貢献。
献血で提供された血液は、血液センターで血小板、血漿、赤血球など血液製剤化され、医療機関に供給されます。テルモは、世界中の血液センターと提携し、製剤化に用いる機器や血液バッグを供給し、製剤プロセスの効率化に貢献しています。また、遠心分離技術を活用した血液成分を採取または除去するデバイスを通じ、多様な血液治療のソリューションを展開しています。近年は、進化が著しい細胞治療および遺伝子治療の分野の研究機関や製薬企業に向けて、高品質な細胞治療製品を大規模に製造するための装置やサービスを提供し、新たな治療法の創出を支援しています。
Column
テルモは生産拠点や販売拠点を世界中に拡大していて、世界160以上の国や地域に商品を供給しています。全売上に占める海外比率は約75%に及んでいます。アソシエイトの人数も8割以上が海外であり、連結子会社数も世界で99社を数えます。こうしたグローバル展開を今後も推し進め、「世界の医療現場からトップブランドとして信頼されるメーカー」を目指していきます。
Chapter 03
サステナビリティへの取り組み
テルモグループでは、「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念の追及が、テルモと社会の持続的な発展に寄与するものと考えています。一方、企業を取り巻く環境は大きく変化しており、医療や社会、地球環境に関する課題は日々多様化、複雑化しています。そこで当社では、これら課題解決のためのサステナビリティ重点活動テーマを定め、さまざまなステークホルダーの声にも耳を傾け、国連の「持続可能な開発目標(Sustainable DevelopmentGoals:SDGs)」も参照しながら、医療課題の解決をはじめとする社会・環境の課題解決に向けて取り組んでいます。
価値創造を支えるオペレーション
環境への取り組み
多様な人材の活躍
地域社会への貢献
Column
「医療技術の創造と普及」を目的とする施設として、テルモの研究開発拠点・湘南センターの一画に設立されたテルモメディカルプラネックス。来館されたお客様にテルモを深くご理解いただくことに加え、長年にわたり積み重ねたトレーニングの経験やノウハウに基づき、国内外の医療従事者の皆様を対象とするトレーニングを提供しています。総面積14000㎡を誇る場所に病棟や手術室、カテーテル治療室などの医療現場を忠実に再現し、テルモの歴史や技術を紹介する展示室も備えています。2002年の開設以来、訪問者数は延べ16万人を超えており、テルモが考える「医療を通じた社会貢献」を体験いただける空間となっています。
Chapter 04
テルモが描く未来
生活水準の向上、先進国の高齢化といった社会の変化はもちろん、急速なデジタル化、技術の高度化など大きなパラダイムシフトの中にある、医療業界。その中でテルモは、創立100周年の節目に、次の10年超を見据えた5カ年成長戦略を発表しました。
その軸となるスローガンは、「デバイスからソリューションへ」。患者さんの長期的なQOL向上を実現することを第一に、デバイスのみに焦点を当てるのではなく、患者さん、医療従事者、そして医療業界の全体を捉えた上で、課題解決につながるソリューションの提供を目指します。
変革期の中で、新しい解決策を提示していく。そうすることで、テルモは次の100年に置いても必要とされる企業を目指していきます。
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